2017年11月22日
高校生物の重要用語 現行の4分の1に
これまで、高校生物の教科書では各学会があげた計2000 語以上の重要用語から、教科
書会社が掲載する用語を選んでいた。しかし、理科のほかの教科に比べて重要用語が多く、
生物科学や生命科学の方面に進むことを志望していながら、生物学を敬遠する学生も多くい
る。結果的に、生物系学部・学科や医学部でも、生物学を十分に学んでいない学生が入学してく
ることも珍しくないという。
このような事態を受け、日本学術会議は、高校生物で学習する重要用語を、現在の約4分
の1の512 語に減らすべきだとする指針を公表した。生物学が、知識を詰め込むばかりの「暗
記科目」になっている弊害を解消し、思考力中心の学習にしたいねらいがある。
動物や植物、生物の専門家が、教科書やインターネット、論文での引用数などを参考に「最重
要語」254、「重要語」258 の計512 語を選んだ。
最重要語は、「呼吸」「タンパク質」「ホルモン」など一般でもなじみ深い言葉。重要語は、
「体細胞分裂」「ヘモグロビン」「脂肪」など。病名は、「糖尿病」と「がん」のみで、人名は
すべて外した。日本遺伝学会が使用をやめた遺伝子の「優性」「劣性」は重要語に残し、言い
換えの「顕性」「潜性」はまだ定着していないとして併記にとどめた。
選定した東京大学の中野明彦教授は、「選ばれなかった用語が教科書からなくなるわけでは
ない。重要語を絞り、生物は暗記する学問でなく、考えて学ぶ意欲がかき立てられる学問だと伝え
たい」と話した。また、来春の学習指要領改訂で、教科書に反映させてほしいとしている。
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